パラサイト ラブ
「…ね…キス、してあげる」
朝乃がそっと、人差し指で俺の唇に触れた。
瞳はすっかり輝きを取り戻していて、さっき発作で苦しんでいたのが嘘のようだ。
「なんで、キス……?」
「龍ちゃんの不安を、取り除くため。さっき私にそうしてくれたように、今度は私が」
―――あぁ、さっきのキスは。
「袋をあてて自分の息を吸っても、治らないときは治らないの。それよりも、不安を和らげる方が大事だって昔かかったお医者さんが言ってた」
ちゃんとした、応急処置だったんだな……
「…じゃあ、お願いしようかな」
「うん、目…閉じて?」
――朝乃の言ったとおり……
お互いの柔らかくてあたたかい部分を押しつけ合うこの応急処置は、俺の中の不安をゆっくりと溶かしてくれる、魔法のようだった。