パラサイト ラブ


“恋を始める”



そのフレーズが、俺の胸をときめかせ、美奈と居るときは眠ったままだった感情が、目を覚ました。



変な女でもいい。



この気持ちを思い出させてくれた彼女に、今は従ってみようと思った。



「…わかった、行こう」



力強く頷いた俺の腕に、彼女は絡みついてきた。



あっちにいいホテルがあるの、と彼女が指さす方へ歩き出したとき、後ろからやってきた美奈が声を震わせた。



「龍二……誰、その人…」



「美奈…ごめん、俺たち」



言い終わる前に、強烈な平手打ちが飛んできた。



「最……っ低……!!!」



顔を真っ赤にして涙を浮かべる美奈。不思議なことに、その涙にはなにも感じなかった。

< 11 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop