パラサイト ラブ
“恋を始める”
そのフレーズが、俺の胸をときめかせ、美奈と居るときは眠ったままだった感情が、目を覚ました。
変な女でもいい。
この気持ちを思い出させてくれた彼女に、今は従ってみようと思った。
「…わかった、行こう」
力強く頷いた俺の腕に、彼女は絡みついてきた。
あっちにいいホテルがあるの、と彼女が指さす方へ歩き出したとき、後ろからやってきた美奈が声を震わせた。
「龍二……誰、その人…」
「美奈…ごめん、俺たち」
言い終わる前に、強烈な平手打ちが飛んできた。
「最……っ低……!!!」
顔を真っ赤にして涙を浮かべる美奈。不思議なことに、その涙にはなにも感じなかった。