パラサイト ラブ
「朝乃」
私の手から婚姻届を取り上げて、龍ちゃんがふわりと私を抱きしめた。
香水のにおいとも汗のにおいとも違う、龍ちゃんだけのいいにおいに私の気持ちは安らぐ。
「幸せに…なろうな」
「…今でも充分、幸せだよ?」
「…今よりももっと、ってこと」
龍ちゃんはそう言うと私にキスを落とし、また私に幸せをくれる。
そのとき、私は思い出した。
龍ちゃんが帰ってきたら聞こうと思ってたこと。
「ねぇ、龍ちゃん」
「ん、なに」
「ご両親の好きな食べ物ってなにかな…ほら、実家に行くときお土産持って行かないと」
「…………………」
龍ちゃんは何故か目を丸くして黙り込んだ。
私…なにか変なこと言った?