パラサイト ラブ
「お帰りなさい、雨で大変だったわね」
「あ…は…初めまして!市川朝乃と申します!」
深々とお辞儀をした朝乃。
母さんは柔らかく微笑んで小さく頭を下げた。
「初めまして、朝乃ちゃん。とりあえず玄関じゃ寒いから二人とも早く中に入って」
「お邪魔します…!」
朝乃は相当気合いが入っているみたいで、脱いだ靴を几帳面に揃えてから母さんに栗ようかんを渡した。
「ありがとう、これ家族みんな好きよ」
母さんにそう褒められると朝乃は嬉しそうに俺を見た。
その仕草が先生に褒められた小学生みたいで、少し苦笑しつつも心が和んだ。