パラサイト ラブ
「はい…小さい頃のことなので記憶にはないんですけど、家族三人で車に乗っているときに事故に遭って、私だけ助かったんです」
「そうなの……ご両親が居なくて色々苦労したでしょう?」
「いえ、代わりに祖母に可愛がってもらいましたから、幸せでした。それに私には…両親が居ないことが普通だったから」
私がそう言って微笑むと、龍ちゃんのお母さんは少し涙ぐんだ。
私のことで泣いてくれている――
私はそのことがとても嬉しかった。
龍ちゃんの家族は龍ちゃんと同じで、優しくてあたたかいんだ……
「……龍二、お前はちゃんと朝乃さんを幸せにしなきゃいけないぞ」
どっしりと威厳のある声で、龍ちゃんのお父さんが言った。