パラサイト ラブ

実家に挨拶に行って、婚姻届にサインまでもらった幸せなカップルの筈の俺たち。


だけど朝乃は勝手に別れる決意をし、俺はそれに腹を立てている。

……理性を失いそうなほどに。



いつから俺はこんな執着心の強い男になったんだろうと考えたけど、答えは簡単だった。


朝乃と出会ってからだ。

朝乃に執着され、俺は誰かに執着されることの甘い痛みを知ったんだ。


俺が朝乃を支えているのか、俺が朝乃に支えられているのか、もうどちらなのか解らない。


……いや、“支える”なんてそんな助け合いみたいな表現は俺たちに似つかわしくない。



支え合うどころか、愛を見えない槍のようにお互いの身体に突き刺し、逃げないようにずっと、それを突き刺したままでいる。


朝乃はその槍を引き抜こうとしているらしいが、そんなの許せるはずがない。


それがなくなったら俺は……


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