パラサイト ラブ
しばらくぼんやりしていた私だったけど、もしかして今ならここを出ていけるかもしれないと気がついた。
お風呂場の扉はロックされていなくて、縛られた手でも難なく開けることができた。
同じ要領でリビングの扉も開け、さっき咄嗟にポケットに隠した手紙をテーブルに乗せると、今度は玄関に向かった。
すると玄関も鍵は開けっ放しで、私は思わず苦笑した。
詰めが甘すぎるよ…龍ちゃん。
やっぱり監禁とか、そんなことあなたには似合わない。
本当はちゃんとした格好で出て行きたかったけど、早くしないと龍ちゃんが帰ってきてしまう。
寝間着のスウェットに、腕は縛られているという出で立ちで人目に付きそうだけれど仕方がない。
私は後ろ手にノブを掴み、体全体で扉を押してアパートから抜け出すことに成功した。
――ばいばい、龍ちゃん。
………ごめんね。