パラサイト ラブ
消えた彼女

……また、やってしまった。


朝乃が本気で出て行く気なんだと思ったら頭に血が上って、気が付いたら朝乃を風呂場に連れて行ってた。


俺は何をしてるんだろうと思う気持ちもあったが、引っ込みがつかなくなってあのまま朝乃を置いてきた。


だけど…少し頭を冷やしたくて、わざわざ車を使って遠くのコンビニまで来たことを俺はすでに後悔し始めている。


飲み会の夜もそうだった。拘束して、監禁して、でもすぐに心配になって家に飛んで帰った。

こうして朝乃と離れれば冷静になれるのに……
俺はどうして時折あんなひどいことをしてしまうんだろう。


「……帰ろう」


適当に選んだおにぎりやパンをレジに持っていき、会計を済ますとすぐに車を走らせて来た道を戻り始めた。

朝乃はきっと、出て行った時と同じ格好で俺を待っているだろう。

いたいけに俺を愛す朝乃…やっぱり彼女が愛しくてたまらない。


帰ったら優しくしてやろう。

一緒に朝ごはんを食べて、これからのことをちゃんと、家族のこともハナのこともちゃんと、朝乃が納得するまで話し合おう。



そう、思ったのに――――…


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