パラサイト ラブ
部屋に帰ってみると、朝乃の姿はどこにもなかった。
代わりにあったのは、少し皺の寄ったコピー用紙に書かれた、俺あての手紙。
「…………」
正直、読むのが怖かった。
従順に俺を待っているだろうと思っていた朝乃が出て行った。それはもう、気持ちがないということじゃないのか?
幸せがどうのこうのと言っていたけど、俺と結婚したくなくて、ときどき顔を出す俺の独占欲が苦しくて、逃げ出したんじゃないか?
次々と溢れ出す不安に手紙を持つ手が震える。
でも、そうではないというかすかな希望も捨てたくなくて、俺はおそおるおそる、手紙に目を落とした。
――そこには、俺に対する優しい愛情が、朝乃の苦しい決意が、素直なことばで綴られていた。
読み終わると同時に、俺は家を飛び出した。