パラサイト ラブ
まだ……まだ、近くにいるはずだ。
それに縛られたままで出て行ったんだ、目立つからきっとすぐに見つけられる―――
俺は自分にそう言い聞かせて近所を駆け回り、必死で朝乃の姿を探す。
ごめん、朝乃……俺が馬鹿だった。
いくら朝乃が大切だからって、お姫様を搭に閉じこめるみたい色々な物から遠ざけたって何にもならないのに……
俺はそれに気づけなかった。
これから、一緒の世界で一緒に生きていく……そのために朝乃の心にもっと、寄り添うべきだったのに。
本当に、ごめん。
「―――どこ、行ったんだ…っ」
膝に手をついて、呼吸を整える。
こんなに息を切らせて探し回っても、朝乃は見つからない。
あの格好でそんなに遠くへ行けるはずないのに…
協力者でも居るのか……?
「まさか……」
頭に浮かんだひとりの男の顔に……
走り回ったせいで噴き出していた全身の汗が、一気に冷えたような気がした。