パラサイト ラブ
翌朝―――…
『朝飯食わないと力出ないぞ』
そう言われて半ば無理やり朝ごはんをご馳走になったあと、太一さんが持っている上着の中で一番暖かいというカーキ色のモッズコート(すごく刑事っぽい)を着せられ……
私は玄関で太一さんに見送られていた。
「お金…要りません」
太一さんがコートのポケットに突っ込んだ一万円札を突き返しながら私は言った。
「あのなぁ、そんな格好じゃ職探しもできないだろ?
下着だって履歴書だって買わなきゃならないだろうし……とにかくそれは持っとけ」
「でも……」
「いいから」
私は渋々お札をポケットに戻した。
太一さんは満足そうに頷いた後、まじめな顔になって言った。
「……変な奴には本当に気をつけろよ。何か困ったことがあったらすぐ交番に来い。俺は、お前の味方だからな」
「ありがとうございます」
私は深々と頭を下げ、太一さんに微笑みかける。