パラサイト ラブ

俺は仕事を早退し、ハナに教えられた公園へと車を飛ばした。

車内でハナが告げた事実を思い出し、さらにアクセルを強く踏み込む。



『誰かに、さらわれたって―――――…』



朝乃は、今朝まであるホームレスの老婦人と一緒に居たらしい。


そこへいきなり現れた男が嫌がる朝乃を無理矢理連れ去り、老人は口外しないようにとその男から大金を受け取ったそうだ。

しかしハナの切羽詰まった様子に良心が咎められ、そのことを教えてくれたという。



ハナはすぐに俺に知らせなければと職場へ来たはいいが、朝乃をさらった男がどんな人物だったのか、朝乃にどう声をかけていたのか……

そういう肝心なことを聞いていなかった。



公園につくとピンクの家を探す。

家といってもレジャーシートとダンボールで雨と風を防ぐだけの、つぎはぎだらけの家だが……



「ここか……」



だいたいの家がブルーシートでつくられているのに対し、ピンク色の家は目の前の一軒しか見当たらないのですぐにそこだとわかった。


ホームレスと関わり合いになるのなんて初めてで少しおびえる気持ちもあったが、俺は意を決して、入り口と思われる部分のシートをめくった。

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