パラサイト ラブ
捨てられなかった想い
―――太一さんの家を出てから、私は必要な服を買い、ファーストフード店のテーブルを借りて履歴書を書き上げた。
そして店の外の小さな箱の中で撮った証明写真を張り付けると、そのお店の店員さんを捕まえて「雇ってください」といきなり直談判した。
でもその若い店員はアルバイトで、今日は店長休みだし、そういうのは事前に連絡もらわないと……と、逃げるように私の腕を振り払った。
少し落ち込みながらも、私が次に行ったのはコンビニ。
そこでは一応責任者の男性が居て、履歴書にも目を通して話を聞いてくれた。
住所と電話番号が空欄なことを突っ込まれ、家がないと言ったら彼は同情からか、採用に積極的な態度を示してくれた。
だけど……
「この会社は、どうして退職したの?」
職歴の欄に書いた、以前勤めていた会社のことを聞かれて……
「失恋のショックで休んでいたら、もう来なくていいと言われました」
馬鹿正直に答えた私は、せっかく好意的だった彼の気持ちを一変させ、結局そこからも追い払われてしまった。
たった二か所での失敗だったけれど、私はひどく疲れて公園のベンチでぼんやりしていた。
街中で見つけたバイトの情報誌は、持ってきただけで中はまだ見ていない。
日が暮れかけてきて、冷たい風に頬を撫でられると無性に寂しくなり―――…
無意識に、私の目からは涙がこぼれていた。