パラサイト ラブ

氷枕と体温計を持って寝室に戻ると、熱のせいで苦しげではあるけど、安心しきった表情で朝乃は眠っていた。


起きないようにそっと枕を交換し、わきの下で体温を測ると38度5分だった。


明日には下がってるといいけど……



いったん部屋を出て、キッチンで自分の食事と朝乃用のおかゆを作った。


おかゆなんて作ったことがなかったけど、冷凍してあったご飯を解凍して鍋に入れ、適当に水を入れて煮たらそれなりにおかゆらしくなった。


起きたら食べさせればいいと思って、先に自分の食事を済ませてシャワーを浴び、再びキッチンに戻ると、いつの間に起きたのか朝乃がおかゆの鍋を覗いていた。



「これ……私の?」


「うん。食欲あるなら何か食べた方がいいと思って作った。…食べられそうか?」


「食べる!おかゆ作ってもらったのなんていつぶりだろう……」



少しは楽になったのか、そう言ってはしゃぐ朝乃。


あまり家族との思い出がない朝乃には、こういうのが嬉しいのかもしれない。



「これからは、朝乃が風邪ひいたらいつでも作ってやるよ」



俺がそう言うと、朝乃は心底嬉しそうな顔で頷いた。


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