パラサイト ラブ
ちゃんと、愛してる
やっと本来の俺に戻ったと、職場の皆はほっと胸を撫で下ろしていた。
一体何があったのかと聞かれたけど説明するのは面倒だし恥ずかしいので、その場を切り抜けるために
『マリッジブルーです』
と冗談で言ったら、今度は結婚の話の方を根掘り葉掘り聞かれて逆に墓穴を掘ってしまった。
朝乃が心配で定時きっかりに退社した俺は、帰り道の途中にあるスーパーでスポーツドリンクやら消化のよさそうなプリンやゼリーを買い込んでから、家に帰った。
重たいビニールをぶらさげて玄関を開けると、すぐに朝乃が出てきて俺を出迎える。
「お帰りなさい」
「ただいま、もう起きて平気なの?」
「うん、少し吐き気はあるんだけど大丈夫」
「母さん、余計なことしなかった?」
「うん。すごく良くしてもらったよ。それにハナさんとちぃも来てくれたし」
「……ちぃまで連れて来たのかよ。ここ、ペット禁止なのに」
仕方ないな……と呟きながら廊下に上がり、俺は部屋に入って冷蔵庫に買ってきたものを詰め始めた。
すると背後で小さく、朝乃が呟いた。
「龍ちゃん、あのね……大事な話があるの」