パラサイト ラブ
「あのさ、朝乃」
「んー?」
俺の問いかけに、雑誌から目を離さずに返事をする朝乃。
……もう既に、さっき朝乃が言っていた“奥さんを子どもに取られる”状態になっている気がする。
嫉妬……とまではいかないけど、寂しいものがある。
少し拗ねた気持ちになりながら、今朝車の中で思いついた願望を口にしてみる。
「今日、抱いてもいい……?」
「え、だめだよ。まだ妊娠初期なんだから」
驚くほど呆気なく、切り捨てられてしまった。
俺はそれでも諦めきれなくて、未だ雑誌に夢中の朝乃の顔を無理矢理こちらに向かせ、深いキスを仕掛けた。