パラサイト ラブ
「…暮らしてないよ」
朝乃は振り返らずに、小さく呟く。
「…俺と寝たのは彼氏と喧嘩でもした腹いせ?」
「そんなんじゃないよ…私は…」
「………帰る。面倒なことに巻き込まれたくないし」
腰を上げて、玄関に向かう俺。
「…待って!!!」
朝乃が追いかけてきて、俺の背中にしがみついた。
「ちゃんと、話すから…全部」
振り返ると、朝乃が大きな瞳に涙をいっぱい溜めてて……
親を見失った子どもみたいなその表情に、心の柔らかい部分をきゅっとつままれた俺は、出て行くのをやめて部屋に戻った。