パラサイト ラブ


『朝乃は、俺が居ないと何もできないんだな』


つきあい始めの頃、英はよくそんな風に言って幸せそうに目を細めた。



『そうだよ、だから私のこと、捨てたりしないでね?』



そう言って彼の胸に顔をこすりつける私を、英はいつも優しく撫でてくれて、それで……



―――だめだ、寂しい。



「新しい人…探しに行かなくちゃ」



ベッドを抜け出して、顔を洗う。


今日は何を着ようか。



クローゼットを開けて男ウケのよさそうな服を物色する。



服の後はメイク。



今日は物憂げな表情にしたいから、睫毛はあえて上向きすぎないように…



男の気を引くために何かをするときの私は、いつも真剣だ。

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