パラサイト ラブ
「朝乃が行くなって言うなら、行かないよ」
龍ちゃんは優しく微笑んで、残りのトーストを口に詰め込み牛乳で流し込んだ。
先にそう言われてしまうと、なぜだか“じゃあ、行かないで”と素直に言えなかった。
「まあ、当日までに考えておいてくれればいいよ」
ごちそうさま、と席を立ち、洗面所に向かう龍ちゃんの背中に、私は気づいたらこう言っていた。
「飲み会、行ってきなよ」
行かなくてもいいと言ってくれた龍ちゃんを信じないなんて、心の狭い奴と思われたくなかった。
「……いいの?」
振り返った龍ちゃんの表情は、驚きの中にも嬉しさが滲んでいた。
「うん…その日は先に寝てるね」
「ありがと、朝乃」
…これで、いいんだ。
龍ちゃんを信じなきゃ。
私は自分に言い聞かせるように、頭の中で何度もそう繰り返した。