パラサイト ラブ
その晩、ちゃんと定時で帰ってきた龍ちゃんに、夕食を食べながら職場のことを何気なく聞いてみた。
そして、素直に行かないでと言えば良かった、と後悔した。
龍ちゃんの働く生活環境部という部署は、男性が彼も入れて二人、あとの四人は女性だという。
しかも、その女性のうちの一人が今回の異動に関係していて、今まで40代だった既婚女性から20代の独身女性に代わるということだった。
「…その人、綺麗?」
なんとか自分を安心させる要素を探そうとして、聞いてみた。
「そうだなあ、好みではないけど、結構狙ってるやつは多いみたい」
龍ちゃんはそう言って味噌汁をすすり、
「今日は塩分ちょうどいい。朝乃進歩したなぁ」
なんて呑気に言っていた。
そんなことを誉められてもちっとも嬉しくない。
私の胸が、ざわざわと嫌な音を立て始めた。