パラサイト ラブ
車を飛ばすと20分ほどでアパートに着いた。
部屋の前で扉を開けるのを一瞬躊躇したけど、意を決してドアノブを回した。
「……ただいま」
しん、と静まりかえった部屋。
とくに変わった様子はない。
リビングに朝乃の姿がなかったので、寝室の扉を開けた。
「朝乃…?」
この間と同じくベッドの上には膨らんだ掛け布団。
それをそっと外すと、朝乃がすやすやと眠っていた。その手に、俺の服を抱きしめて。
「ん………」
俺の気配に気づいたのか、うっすらと瞼を開いた朝乃。
「あ、れ…?浮気者が、帰ってきた…」
「…誰のこと、それ」
「…龍ちゃんに決まってるじゃない」
虚ろな目をした朝乃が言った。