パラサイト ラブ
愛の行方
実家の猫を思い出していると、同時に家族の顔も脳裏に浮かんだ。
無趣味で、休日家でごろごろしているだけの父。
口やかましいけれどしっかり者の母。
それに大学生の弟と高校生の妹が居て、にぎやかな俺の家族。
たまに帰ると親はあれ食えこれ食えだの言うし、妹は小遣いよこせと迫るし、正直疲れる。
それでも、何故だか落ち着くのが実家ってものだと思う。
そんなことを考えていたから、俺は朝乃の家族のことを聞いてみたくなって……
「朝乃の家族は、どこに住んでるの?」
そう、尋ねた。
密着してた朝乃の身体が一瞬だけ震え、ごろんと寝返りを打った彼女はベッドの端でおれに背を向け呟いた。
「家族なんて…いないよ」