パラサイト ラブ
「俺がいつ朝乃を否定した…?」
落ち着かせるように背中をとんとんと叩きながら、尋ねる。
「だって…龍ちゃん、あの食虫植物の中に浮いてた虫の気分なんでしょ?
…虫は、あの中で死ぬんでしょ?」
やっぱり、その例えを気にしていたのか……
でも、朝乃の解釈は少し間違ってる。
「朝乃は、その虫を不幸だと思うの?」
「……だって、死んじゃうんだよ」
俺を見上げた朝乃。
目と鼻を真っ赤にして、子供みたいだ。
「俺は幸せだと思うよ。大好きな蜜の中で死んでいくんだから。最後の最後まで、体中甘い蜜だらけでさ」
俺はそう言って微笑んだ。