パラサイト ラブ
お昼前のスーパーはすごく混んでいて、少しぼうっとしているだけでたくましい主婦たちにカートで押される。
それでも何とか必要な食材をカゴに入れていき、最後のオリーブオイルを手にしたときに手が滑った。
「あ………」
円筒型のビンは床をコロコロと転がり、側にいたほかの買い物客の足元で止まる。
「…すいません」
ビンを拾い上げてよく磨かれた黒い革靴から視線を上に移動させた私は、言葉を失ってしまった。
「朝乃……」
目を丸くして佇むスーツ姿の男が、懐かしい声で私を呼んだ。
「すぐ、る………」