パラサイト ラブ
「…英、もう大丈夫だから…」
朝乃が言うと、遠山は朝乃から手を離して俺を見た。
「これ、彼女の荷物」
俺に小さな鞄とスーパーの袋を無愛想に差し出す。
俺がそれを受け取ると、遠山は黙ってこの場を去ろうとした。
「……英!」
朝乃がその背中を呼び止め、振り返った彼にこう言った。
「…ありがとう」
遠山は微笑を浮かべ軽く手を振ると、また俺たちに背中を向けて今度こそアパートから去っていった。