パラサイト ラブ
本当なら、俺が一番にやるべきことは朝乃の体を気遣うことだろう。
だけど俺はそれができなかった。
自分を裏切っていた男に『ありがとう』と言う朝乃の態度に苛つきを感じて、彼女の腕を強く引きながら廊下を進んだ。
「龍ちゃん…?痛い…」
怯える朝乃を無視して寝室に連れて行き、急に手を離すと朝乃はよろめいてベッドに倒れ込んだ。
「何で…あいつと一緒に居た」
俺は立ったまま、ベッドで体勢を立て直す朝乃を見下ろす。
「偶然…スーパーで会って」
「こんなに遅い時間に出かけたのか?」
「…ううん、出かけたのは昼間だけど……その後カフェに」
「―――カフェ?」
思わず語気を強くした俺に、朝乃はびくっと体を震わせた。