しあわせおばけ
口ごもる俺を、相沢が不審な目で見ている。
「うちにいるんだよね、つまり…」
「なんだよ、はっきり言えよ」
俺は大きく息を吸って、ゆっくり吐いた。
「紗希が」
相沢は、いいことあった?の答えがまさかコレとは思いもしなかっただろう。
夏とはいえ、最愛の妻を持ち出すあたりが心霊話としてはパンチが足らない。
そのリアリティを感じ取って、信じてほしいと俺は願った。
ほかの誰でもない、今日までの俺の様子を知っている相沢だからこそ、話せたことなんだから。
ところが、相沢の表情はみるみる曇った。
「大丈夫か、お前…」