しあわせおばけ

明らかに心配されている。

メシを食っているときはいつだって箸を手放さない相沢が、静かに箸を置いた。

それほどに、心配されている。



「大丈夫だよ。おかしくなったわけじゃない」

「おま…とうとう紗希ちゃんの幻覚が…」

「ちち違うんだって!ほんとなんだよ、信じてくれよ」

「落ち着け、三国。俺の知り合いに、心理カウンセリングをしているヤツがいる。紹介するから会ってみろ」

「いや、ほんとに…」

「いいから、会って話を聞いてもらえって。絶対、力になってくれるから」

「ちょっ…いやいや、俺はどこも病んでないって!」

必死にアピールしても、相沢は聞いてくれなかった。

「俺じゃ力不足だったんだな…。早く気付いてやれなくて悪かったよ…」

深いため息とともに、相沢はうなだれた。




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