しあわせおばけ
会社に戻ると、佐伯さんが俺と相沢に冷たい麦茶を持って来てくれた。
「なんだよ~こんなサービスしちゃって」
鼻の下を伸ばしてデレデレしている相沢を無視して、佐伯さんは俺に視線を向けた。
「三国さん、やっと本調子になられたみたいですね。安心しました」
どうやら顔色が良くなったのは本当らしい。
妻に再会できたのがうれしくて、とは口が裂けても言えないが、
「いつも気にかけてくれてありがとう」
と言うと、佐伯さんは、
「えっ…あ、いえ!」
と、頬を赤らめて慌てたように自分のデスクに戻った。
「…あれあれ~?」
相沢が意味ありげな笑みを浮かべて俺を肘で突く。
「な…なんだよ」
「佐伯さんって、もしかして~?」