しあわせおばけ

会社に戻ると、佐伯さんが俺と相沢に冷たい麦茶を持って来てくれた。

「なんだよ~こんなサービスしちゃって」

鼻の下を伸ばしてデレデレしている相沢を無視して、佐伯さんは俺に視線を向けた。

「三国さん、やっと本調子になられたみたいですね。安心しました」

どうやら顔色が良くなったのは本当らしい。

妻に再会できたのがうれしくて、とは口が裂けても言えないが、

「いつも気にかけてくれてありがとう」

と言うと、佐伯さんは、

「えっ…あ、いえ!」

と、頬を赤らめて慌てたように自分のデスクに戻った。



「…あれあれ~?」

相沢が意味ありげな笑みを浮かべて俺を肘で突く。

「な…なんだよ」

「佐伯さんって、もしかして~?」


< 126 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop