しあわせおばけ
さて。
今回の相沢の訪問は、前回から間があいていないおかげで掃除も適当で済むから、ラクなものだ。
俺は、明日香がまだ寝息を立てている間に、妻に相沢が来ることを告げた。
「えっ…相沢くんに話したの」
妻は予想外に驚いていた。
「ダメだった?でも内緒にしてとか言ってなかったろ」
「カミングアウト自体はべつにいいのよ、知らない間柄じゃないし。ただ…」
「ただ?」
「あなたが、変な目で見られたんじゃないかと思って」
妻の顔は真面目そのものだ。
「まあ…少しはな。だから実際に会ってもらおうと思ったんだ」
「でもそれで相沢くんに私の姿が見えなかったら、あなた完全にイカレた人扱いされるわよ」
「え?」