しあわせおばけ
「おはよっす。どうよ体調は?」
隣席の相沢の第一声は、決まってコレだ。
「あのさぁ、今も佐伯さんに顔色悪いって言われたばっかなんだけど、そんな具合悪そう?」
「悪そうだね、激痩せしたし」
「マジかよぉ」
そんなこと、誰も気にしていないと思っていた。
「ちゃんと気付いてんだぞ、無理すんなよな」
俺を知るすべての人間が、俺を心配している。
そんな空気がイヤだったけど、その原因を作っているのは、紛れもなく俺自身だったんだ。
「いくら心で大丈夫って言い聞かせたって、体がついていかないんじゃ、そのうち倒れるぞ」
「…わかってるよ、ごめん」
「…べつに謝らなくたっていいけどさ」