しあわせおばけ
トントントン――
階段をおりる音にハッとした。
「あ、明日香、おはよう」
会わせなくてはならない人、その張本人に遅めの朝の挨拶をする。
そう、俺と紗希の娘だ。
「……」
明日香は俺にチラリと視線を寄越すと、やっぱり何も言わずに冷蔵庫を開けた。
牛乳パックを取り出しグラスに注ぎ、食パンをトースターに入れる。
「パパがミルクティでも作ってやろうか」
と言っても、知らんぷりだ。
母親との再会で、この態度がどう変化するか…。