しあわせおばけ

しかし…。

俺は考えた。

この年頃の娘に、たやすく幽霊なんて見せてもいいものか。

いや、まあ、正しくは天使だけれども。

この際、肩書きはどうでもいいとして、死んだはずの母親に会わせることに抵抗がないこともない。

現に、そういう理由で今日まで存在をひた隠しにしてきたのだから。

妻自身も、以前は会う心の準備ができていないと言っていたけど、今日は大丈夫だろうか。



いざとなると、いろんな心配事が急に押し寄せてくる。



仕事に戻った妻は、何時に帰って来るだろうか。

できれば、相沢よりも前に会わせたい。



俺は落ちつかない気分で部屋の中を意味もなくうろうろした。




< 133 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop