しあわせおばけ
「いや、たしかに怖いかもしれない。でもママは幽霊じゃ…」
「…パパ…どうしたの…?」
「え?」
その目はなおも母を捉えず、俺だけを見ている。
久しぶりに聞く明日香の生声だけど、どこか様子がおかしいと思ったのは、きっと俺だけじゃないだろう。
「今、誰とお話してたの?」
「…!」
もしかして…でもそんなことって…。
俺が隣の妻を見ると、彼女も俺を見た。
その目には、明らかな落胆の色が見て取れた。
どうやら、信じたくないことが起こってしまったようだ。