しあわせおばけ
こうなってくると、もう俺が何を言おうと無駄なことを、俺はよく知っている。
俺はカリカリした様子の妻を和室に置いて、とりあえず自室に戻った明日香のフォローに向かうことにした。
和室を出る間際、
「いいか?絶対無断で天国に戻るなよ。もし戻ったら…」
と目を細めて妻を見下ろした。
「死んででも連れ戻しに行くからな」
「…!」
ピシャリとドアを閉めた向こう側から、
「バカッ!センス悪すぎてジョークか本気かわからんっつーの!」
と妻の叫びが聞こえた。
あながちジョークでもないかもな、なんて思ってみたりして。