しあわせおばけ
「相沢、来たよ」
「そうみたいね。でも…行ってもいいの…?」
今になってタイミングを見計らったところで、さらにぎこちなくなるのは目に見えている。
それならいっそ、早めに登場してもらったほうが助かるというものだ。
「明日香も呼んでくるから、4人で顔を合わせよう」
「4人でなんて…だってあの子には私のこと…」
さっきのことを思い出したのか、妻の目にまたうっすら涙が浮かんだ。
「まあそう言うなよ、ちゃんと俺が間に入るから」
姿が見えなくたって、たしかにここに存在するんだ。
俺がそれをカレーコロッケという形で証明できれば、明日香もきっと喜んでくれる。
俺は渋る妻を無理やりリビングに向かわせ、明日香を呼びに行った。