しあわせおばけ
「--…きは、アイザワクンも誘って行きたいです。おわり」
明日香はペコリと頭を下げて椅子に座った。
なんだか、とりとめのない作文だった。
でもそれでいて、なんら偽りのない、まっすぐな文章が俺の心の隙間を埋めた。
おばけやら天使やら、先生の目にはふざけているように映るかもしれない。
俺自身、もし文中に母との再会のくだりがあったら直そうと思った。
でも、背筋を伸ばして大きな声で作文を読み上げる明日香を見て、このままでいいと思えた。
現実的じゃなくても現実なんだし、先生に妄想入ってると思われようと構わない。
「…よく書けてるな」
軽く頭を撫でてやると、明日香は照れ臭そうに笑った。
「花まるもらえるかな」
「もらえるよ。絶対、もらえる」
もしもらえなくたって、そのときは俺が特大の花まるを書いてやる。