しあわせおばけ
ところで、俺の出勤時間が迫っている。
こんなところでいちゃついている場合じゃない。
「会社行く準備してくるわ。紗希、せっかく有休取ってもらったのにひとりにして悪い」
言いながら2階への階段をのぼりかけたとき、
「ねえ」
と妻が呼び止めた。
「ん?」
俺、ほんとに時間ないんだけど…―
「今日、あなたもお休みしちゃえば?」
「…え」
何を言い出すのかと思えば。
「せっかく1日いられるんだし、お休みして、一緒に過ごしましょうよ」