しあわせおばけ
「なぁに?」
「なぁにって…どうしたの、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと眠くなっちゃっただけよ」
その声には張りがなく、明らかにさっきまでとは様子が違う。
休めって言ったのは妻のほうなのに、まさか、ずる休みなんて最低、とか言い出したりしないよな。
「なぁ…」
「ねぇ…」
それはほとんど同時だった。
「あ、ごめんね、何?」
「いや、紗希から」
「いいよ、なぁに?」
「…どうかしたのかなって思っただけだよ」