しあわせおばけ
「私は天使だけど、守護型天国の住人でもあるの」
妻はゆっくりと話しはじめた。
先週、天国で運営委員会の上司に呼び出された妻は、そこで、後任の天使候補がいることを聞かされた。
『もう、きみの家族は【家族】を取り戻したね。どうだろう、次に譲ってみては』
譲ってしまったら、妻は天国の住人として街に出ることになる。
だけどそこに住めるのは、まだ自分の目的を果たしていない人だけだ。
旦那と娘をなんとかしたい、という妻の目的はすでに…-
「私には、もう天国を離れる以外に道がなくなっちゃった」
つまり上司の提案は、事実上の天国卒業通告ということになる。