しあわせおばけ
「そんな、急に…」
ようやく口から出た言葉は、またすぐに続かなくなってしまった。
そりゃ、いつかはそういう日が来るのかなって、考えたこともある。
でもこんなに急に告げられるとは…。
「それって、いつ…いつなの…?」
きっと俺は、世界の終わりみたいな顔をしていたんだろう。
妻はくすりと笑って、
「そんなにがっかりしないで」
と、子供をあやすような柔らかい声で言った。
そして、
「いつ…?そうねぇ、明日香の顔を見ちゃうと決心が鈍るから、あの子が帰るまでには」
と、今頃は勉学に励んでいるであろう明日香を思っているのか、遠い目をした。