しあわせおばけ
翌週の昼休み、俺は相沢と向かい合って、会社のテラスにいた。
そこで俺は、提出される前に記念に取っておいた作文のコピーを相沢に渡した。
「お!俺も登場してるな…って、これ、大丈夫なの?」
「何が?」
「いや…だってさ」
相沢は、文中の【おばけ】の文字を指でなぞった。
「ああ、それね。俺も最初は直さなきゃって思ったんだけどさ、でも嘘を書いてるわけじゃないし、いいかなって」
相沢が、ふぅん、と小さく言ったとき、
「お疲れさまでーす」
という背後からの声に振り向くと、佐伯さんが立っていた。