しあわせおばけ
ジンジン痛むおでこをさすりながらベッドを出て、片手でカーテンを開けた。
シャッと気持ちのいい音がして、7月の朝日が寝室に明るく差し込む。
今日も暑くなりそうだ。
「…はぁ〜っ」
俺は眩しい空を見上げ、大きく息を吐いた。
輝かしい夏の朝には、およそ不似合いなため息だ。
―…あの頃はよかった。
なんて、もう戻りはしない日々を求めても、夏の太陽は応えてくれない。
今の俺にできることは、一刻も早く、この生活リズムに慣れることだ。