しあわせおばけ
キッチンで倒れた俺が目覚めたのは、1階にある和室だった。
目を開けて、しばらくぼんやり天井を眺める。
かすかな線香の残り香で、ここが和室であることに気付くと、俺はゆっくりと体を起こした。
まだ少し頭がフラフラするけど、起き上がれないほどでもない。
手で頭を支えながら立ち上がって、電気をつけた。
「…!」
光の刺激に思わず目を閉じて、慣れるまでじっと待つ。
そっと目を開けると、敷かれている布団が俺の部屋のものであることがわかった。
相沢が運んでくれたのだろう。
とんだ迷惑をかけてしまったけど、明日香にはこんなこと無理だし、相沢がいてくれて助かったとも思った。
壁の時計を見ると、夜の10時を回ったところだった。