しあわせおばけ
「毎日、仏壇に手を合わせてくれる時間が待ち遠しかった」
待ってくれ。
「きれいなお花を欠かさずにいてくれて、ありがとう」
ちょっと…―
「それに、あす…」
「ちょっと待ってくれ」
一方的にしゃべり続ける彼女を制して、俺は頭を抱えた。
せっかくおさまったのに、まためまいがする。
明晰夢っていうのを聞いたことがある。
自分で夢であると自覚しながら見ている夢のこと。
今、俺はまさしくその最中にいるんだ。
そうに違いない、いや、そうであってくれ。
じゃないと、俺は…―