しあわせおばけ
妻(仮)は屈託のない笑顔で俺を見る。
天国で就職したの、とうれしそうに言う。
俺はどう反応すればいいのかわからない。
「あのさ…」
混乱する脳に、冷静になれ!と信号を送るが、無理な話だ。
俺は這うように布団まで移動しながら、
「申し訳ないんだけど…今の俺の状況を説明してもらっていいですかね」
と妻(仮)に言った。
「あなたの状況?私のじゃなくて?」
「今の俺には、あなたの状況なんてどうでもいいんだ。俺自身が、どういう事態に陥っているのか知りたいんだよ」
辿りついた布団の上、仰向けになって両手で顔を覆った。
「…いいわ、説明してあげる」
妻(仮)はため息交じりに言うと、あなたはね、と話し始めた。