しあわせおばけ

洗濯物をかごに放り込んで、階段をあがる。

俺の寝室の隣のドアを開け、薄暗い部屋にずかずか踏み込んだ。



「明日香、朝だぞ!」

ベランダに通じる窓を開けながら、ベッドで寝息を立てる明日香を起こす。

「パパ洗濯干してるから、起きて飯食えよ。紅茶と食パン置いてあるからな。おい、明日香!」

「…ん〜……」

俺の声に反応してモゾモゾ動く明日香は、何かの幼虫みたいだ。



ベランダに出た途端、朝とは思えないほどの強烈な熱い空気が俺を包んだ。

「うわっ、7時でこの暑さかよ…」

これも異常気象の一環か。

朝っぱらから地球の心配をせずにはいられない。

パジャマに汗のシミを作り、かごの中の洗濯物を干し終えて室内に戻ると、ベッドに明日香の姿はもうなかった。




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