しあわせおばけ
「私がいなくなってから、あなたは毎日、家事に追われた。炊事、洗濯、掃除…出来は、可もなく不可もなくってところかしらね。あまり成長を感じないけど」
余計なお世話だが、あながち外れてもいないので、何も言い返せない。
「そんな中でも最大の問題は、やっぱり家事じゃなくて明日香よね」
妻(仮)は、完全に上から目線で、腕組みまでしながら話し続けた。
明日香とのことは、今まさに俺自身がいちばん頭を悩ませている問題なんだから、わざわざ言われなくたってわかっている。
「俺だって努力はしてるんだ」
「それは認める。だけど話しかけてもウザがられて、お手伝いだってなーんにもしてもらえなくて、おまけにお弁当すら持って行ってもらえないなんて…」
「ちょ…待って」
止まらない妻(仮)の言葉を遮って、俺は体を起こした。
「家事のこともだけど、明日香のことはまだ相沢にしか話してないのに、あなたはどこで知ったんだ?」
すると妻(仮)は目を丸くして言った。
「えっ、もしかしてまだ信じてないの?!」