しあわせおばけ
階下では、明日香がすでにダイニングテーブルで食パンをかじっている。
しかし気になるのは、その明日香が妙に不機嫌な顔をしていることだ。
寝起きはいいはずなのに、最近いつもこうだ。
「……」
俺は、黙々とパンをかじる愛娘の向かいの椅子に腰を下ろした。
「おはよう、明日香」
「食パンの耳、ちゃんと切ってから焼いてって昨日も言ったでしょ」
不機嫌の理由は、あっという間に明かされた。
「いやでも、それがうまいんじゃ…」
「明日香はキライなの!」
「あ、そう…」