しあわせおばけ
妻の背中に羽がある。
天国で天使になったと言う。
つまり、アレだ。
妻の言葉を借りれば、幽霊に足がないというのは人間が作り出した「キャラ」。
だけど、天使に真っ白なフワフワの羽があるというのは「キャラ」じゃなく、偶然にもビンゴだったということだ。
人間の想像力、恐るべし。
とか言ってる場合じゃないし。
「天使って…一般人がなれるものなのか」
俺はなるべく冷静を装って言った。
妻に動揺する姿を見られたくないからじゃない。
俺が俺であるために、だ。
また気絶する前に、無理やりにでも冷静になれ、と俺の心が言っている。